糖分ログ

オタクの戯言

ココロノ_コンバータ / 天王寺璃奈のお話

※以下、天王寺璃奈ちゃんに関するオタクの戯言を多量に含みます。無理な方はブラウザBack to the TOKIMEKIを推奨します。

※なんか小難しい話を含みます。途中で寝ちゃってもいいですが最後まで読んでもらえると私が喜びます。

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「どんな私だって、見てくれる、認めてくれる人がいる・・・。」

「こういう風に思えるようになったのも、璃奈ちゃんボードがあったから・・・。私の感情を表現する大切なものだけど、私がありのままの素顔を出せるようになるきっかけをくれたのは璃奈ちゃんボードなんだ・・・。」

 

 

これは、虹ヶ咲2nd Liveのパンフレット、天王寺璃奈ちゃんのページに綴られている一節です。

 

天王寺璃奈。表情を作るのが苦手で、愛さん考案の「璃奈ちゃんボード」を使って感情表現をする、異常な技術力を持った可愛い女の子です。

 

今回はそんな天王寺璃奈ちゃんについての、オタクの戯言をつらつらと綴っていこうかなと思います。

 

(今回は少し難しいお話も含むので、頑張って途中で寝ないように読んでください。)

 

 

アナログ_ト_デジタル

突然ですが、「アナログ」と「デジタル」の違いって何でしょうか?

 

「アナログイラスト」「デジタル時計」など言葉を聞いたことはあれど、厳密な定義を知っているのは、その道を学んだことのある方くらいだと思います。

 

また、「その考え方はアナログだよ」とか「デジタル化」なんて言葉もあるように、なんとなくアナログよりもデジタルの方がハイテク、みたいなイメージがありますね。

 

そう考えると、ニジガクの3rdアルバムに収録されている天王寺璃奈ちゃんのソロ曲の曲名は『アナログハート』。情報科で、どちらかと言えばデジタルバリバリなイメージの璃奈ちゃんがここにきて何故「アナログ」をテーマにした歌を歌うのか。少し気になってくると思います。

 

実はこの「アナログ」と「デジタル」の違いこそが、天王寺璃奈ちゃんを語るうえでの重要な要素となります。

今回はここを切り口に、『天王寺璃奈』というキャラクターを読み解いてみましょう。

 

 

レンゾク_ト_リサン

アナログとデジタルの違い、それはズバリ

"連続的であるか、離散的であるか"

です。

 

......なんか小難しいですね。

 

簡単に言ってしまうと、「ひと続きなのがアナログ、ぶつ切りなのがデジタル」です。ますます何言ってんだコイツになりましたね。

文章では説明が難しいので、この先は少し図を挟みながら説明してみようと思います。

 

ここから少し専門的な話になりますが、情報通信の世界には「サンプリング」という用語があります。

サンプリングとは、「連続的な信号を離散的な値に変換する」ことを言います。またなんか難しいですが、要は「この信号(送るべき情報)はこの時にこれくらいのデカさ!」ってのをざっくりした数値にすることです。

以下の図を見てください。

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「アナログ信号」は連続量

はい。壊滅的にチープな図が出てきましたね。クリスタで頑張って描きました。

 

図の縦軸は「信号の大きさ(強さ)」、横軸は「時間」を示します。信号とは通常、時間によって値が変化するものなので、上の図では時間変化するひと続きの波として描かれています。この波が「アナログ信号」と呼ばれるものです。

身近にあるものだと、空気中を伝わっている「音」。これもアナログ信号の一種です。また、携帯やテレビなどの電波はこの"アナログ信号"の形で空気中を伝搬しています。

では次に、このアナログ信号を「サンプリング」してみます。次の図を見てください。

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この時はこのくらいの値!!

こんな感じ。

ここでは、先ほどのアナログ信号の「ある時間ごとの値」を取り出しています。この操作が「サンプリング」です。時間ごとのサンプルを取るから、サンプリング。そのまんまですね。

そして、このサンプリングで取り出した値を信号として表すと・・・

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カクカク。

上の図の赤線のとおり、カクカクの信号となります。この「サンプリング」で取り出した数値で表されるカクカクの信号が「デジタル信号」となります。

この「デジタル信号」は"数値"として非常に扱いやすく、コンピュータはこの仕組みを利用して情報伝達や情報の保存を行っています。

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アナログ信号とデジタル信号

「アナログ信号」を、「サンプリング」を通して「デジタル信号」に変換する。以上が"アナログ信号"と"デジタル信号"の関係性であり、「アナログ(連続)」と「デジタル(離散)」の違いとなります。(かなりざっくりした説明です)

 

ここまでお読みいただけた方には、章冒頭の「ひと続きなのがアナログ、ぶつ切りなのがデジタル」という表現の意味が、なんとな~く理解できたかと思います。

 

これらの一連の仕組みを「アナログ/デジタル変換」(A/D変換)と言い、身の回りではこの仕組みが多く使われています。

例えば、マイク。

マイクではこの仕組みを使って、音を電気信号に変換しています。

 

また、このA/D変換を行う回路の事を「コンバータ」と呼んだりもします。

普通に通信技術の勉強になってしまった

 

ここでひとつ、頭の片隅に置いていただきたいことがあります。それは、「A/D変換では、変換時に失われる情報がある」という点です。

サンプリングの図を見ると分かるとおり、変換時には、「ざっくりとした値」を取るので、左から2番目の「3」や4番目の「2」の値のように、その値としての目盛りが存在しないものは「それに近い値」として処理されてしまいます。そして、その分の「誤差」として切り捨てられた情報は失われてしまうんですね。

よくある「生で聴いた音と録音した音が若干違う」って現象は、この辺の要因が絡んでいたりもします。

 

 

「・・・で、この小難しい話がなんで璃奈ちゃんと関係あるの?」

 

という声が聞こえてきそうなので、そろそろ本題である璃奈ちゃんのお話に入ろうと思います。

 

カンジョウ_ノ_サンプリング

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かわいいね...

天王寺璃奈ちゃん。

彼女の最大の特徴といえば、様々な表情が描かれた「璃奈ちゃんボード」によるコミュニケーションですね。

 

家庭の事情で両親が家を空けることが多かった璃奈ちゃん。その影響で、感情を表に出すことが苦手になってしまっていました。

そんな璃奈ちゃんの感情表現を手助けするべく、愛さんが考案した「璃奈ちゃんボード」。スケッチブックにそれぞれの感情に対応した「カオ」を描いて、その時の気持ちごとに切り替える、という形で感情を表します。スクスタのキズナエピソードでは、この璃奈ちゃんボードを巡る璃奈ちゃんの葛藤が描かれる場面もありました。

 

この「璃奈ちゃんボード」の役割について、もう少し掘り下げてみましょう。

 

人間が感情を表現するには「言葉」や「ジェスチャー」など多くの手段が存在しますが、やはり最も直感的なものといえば「表情」でしょう。「表に出る情」ですね。

人は感情という情報をまず初めに「表情」として出力しようとします。そしてその「表情」というものは、往々にして非常に多くの形をとるものです。

基本的な感情としてあげられる「喜怒哀楽」。そのほかにも、「苦笑い」「怒り泣き」「寂しげな笑み」など、複雑に感情が入り混じった時ほど、その心の内はまず直感的な「表情」として出力されます。

 

そう、この"表情の変化"は前項の定義に当てはめると、連続量。「アナログ」です。

「感情」という信号を、そのままアナログ的に出力するためのモジュールが「表情」なのです。

 

では、天王寺璃奈ちゃんはどうでしょう。

 

璃奈ちゃんは、この「感情を出力するモジュール」である表情が上手く働かなくなってしまいました。"錆びついてしまった"とも言えるかもしれません。

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そんな璃奈ちゃんは、「璃奈ちゃんボード」という発明品によって、自分の感情を「カオ」として出力できるようになりました。

この「璃奈ちゃんボード」、あらかじめ設定された表情に切り替えることで感情を出力しています。そのため、前述のような「複雑に入り混じった感情」が表れたとき、その感情に対応した表情がなければ、的確な出力ができません。その感情により近い「カオ」を出すという手もありますが、その「カオ」に含まれていない感情は誤差として切り捨てられてしまいます。

 

「誤差」として切り捨てられる。どこかで聞きましたね。

 

 

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感情のサンプリング

お察しの通り、"璃奈ちゃんボード"は離散量、「デジタル」です。

璃奈ちゃんの「アナログ」な感情を「サンプリング」し、「デジタル」な形で出力する。

璃奈ちゃんボードにはそんな役割がありました。言うなれば、璃奈ちゃんボードが璃奈ちゃんの「心のコンバータ」として機能していたわけですね。

 

天王寺璃奈ちゃんが、この「璃奈ちゃんボード」というデジタル出力モジュールを通して少しずつ感情を表現できるようになる過程は、これまでのキズナエピソード等でも描かれていました。

ただ知っての通り、A/D変換を行っている限り、誤差として失われてしまう情報(感情)は必ず存在します。「人との繋がり」に重きを置く璃奈ちゃんにとって、自分の感情を的確に相手に伝えられないことほど心苦しいことはないでしょう。

 

そこで、璃奈ちゃんはどうしたのか。

その答えは、3rdアルバムの中にありました。

 

アナログハート

『アナログハート』。

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会3rdアルバム収録の、璃奈ちゃんのソロ曲です。

以前の記事で、3rdアルバムではメンバーの「成長」が描かれているとお話しました。それは璃奈ちゃんも例外ではありません。

 

璃奈ちゃんボードを通して、少しずつ感情を表現できるようになった璃奈ちゃん。そして、ボードの有無にかかわらず、自分のことを自分として見てくれる、認めてくれる人がいるという事を、スクールアイドル活動を通して知りました。

そんな成長を踏まえて、璃奈ちゃんが歩み出すと決めた次のステップ。それは「自分の感情を全てありのままに表現すること」。つまり「感情のアナログ出力」です。

 

ボードの有無にかかわらず、自分のことを認めてくれる人がいるのなら、自分も、少しも切り捨てられていない「アナログ」な想いで応えたい。これこそが『アナログハート』という曲名に込められた璃奈ちゃんの思いなのではないでしょうか。

ここにきて、なぜ璃奈ちゃんが「アナログ」をテーマにした曲を歌ったのか。この冒頭の問いに答えるとするならば、「否。今までの成長があったからこそ、アナログをテーマにした曲を歌うことができた」なのではないかな、と私は思います。

 

そして、アナログな感情を伝えるためには、「素顔」というアナログ出力モジュールを動かさなければなりません。

虹ヶ咲2nd Liveで披露された『アナログハート』の映像で璃奈ちゃんがボードを着けていなかったのも、そういう理由なのかもしれませんね。

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オワリニ

さて、今回は少し専門的なお話も交えつつ、天王寺璃奈ちゃんというキャラクターについての掘り下げを行ってみました。

アニメ放送前に仕上げておきたかったネタだったので、無事書き終えられてよかったです。

 

あと、眠くならずにここまでお読みいただいた方、すごいです。私なら途中で寝てます。

根気よく読んでいただきありがとうございます。

今回お話しした "「アナログ」と「デジタル」" という観点を持って、璃奈ちゃんのストーリーや曲などにもう一度触れてみるのもまた面白いかと思いますので、是非。

 

明日(もう今日じゃん!!!)からはニジガクアニメも始まるので、またこのブログでも色々綴れたらな~なんて思います。

それでは、今回も長々とオタクの戯言にお付き合いいただき、ありがとうございました。